この子がいなくなるかもしれない

 ペットロスの悲嘆は何も失った時ばかりではありません。ちょっといつもと様子が違うな、或いは最近元気がないなと気づいて受診したところ、がんなど想定外の難治性の病名を告げられたり、手術をすれば治る見込みはあるけれど年齢的に高いリスクを伴う全身麻酔が必要など、難しい判断を迫られる場合です。この時を境に景色は一変し、今まで意識していなかった「この子がいなくなってしまうかもしれない」という喪失の不安が始まります。これを<予期悲嘆>といいます。

 このように死が避けられないとわかった場合の後悔や失望は、飼い主にとって実際に喪失した時と変わらない悲嘆反応となるため、喪失する前から苦痛や苦悩といった感情を持ったまま過ごすことになってしまいます。しかも、捨てきれない希望と相反する現実の間で揺れ動くといった複雑な感情にも翻弄されます。

 また病気や高齢の介護をしていると「ちゃんと息をしているだろうか」と心配になり夜中に起きて確認したり、場合によっては給餌やトイレの介助も必要になるなど、そういったお世話をすることが生活の軸になると言っても大げさではありません。そして、そのような事が更に愛着を強める要因ともなって、失う事が極度の恐れとなるのです。

 もちろん辛いことに変わりはありませんが、逆に捉えるとやり残したことがないようにちゃんとお別れや感謝を伝えられる時間を持つなど、前もって心の準備をすることができるとも言えるのかもしれません。

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予期悲嘆
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Paw Lovers (ポー・ラヴァーズ) – ペットロス療法士

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