写真を見返すことの意味

 わが愛猫の “みりん” が旅立った翌日、近くに住む猫仲間の友人が駆けつけてくれました。 後になってその友人がポストに「ペットカレンダーお仕立券」なるものを、そっと入れてくれていたことに気が付いた時は思いがけない粋な気遣いに胸がいっぱいになりました。

 そしてこの日からカレンダー用の12枚の写真を選ぶ作業が始まったのです。何しろカレンダーですから締め切りがあります。まだ写真を見る気持ちになんてなれない・・・などと言っている時間はありませんでした。思えばこの作業によって、早くペットロスから立ち直ることができたと強く実感しています。

 1年に及んだ闘病の間に私の脳裏にはガリガリに痩せた姿やうずくまっている姿、横たわって息を引き取った最期の姿が強烈に焼き付いてしまっていました。しかし、仔猫の頃からの15年間の膨大な写真を泣いたり笑ったりしながら見返しているうちに、やんちゃで活発でキュートな姿が活き活きと蘇ってきて、改めてたくさんの楽しみや喜びを与えてくれた彼女の記憶として上書きをする事ができたのです。

 たとえ病気で苦しい最後だったとしても、確かに生きて私たちに色々な経験や喜びの感情をくれたことまでをも否定してはならないと実感しました。もちろん最初は写真を見る事なんてできるだろうか・・・と、自信がなく、実際に見たときは辛かったけれどとても良いきっかけを与えてもらったことに感謝しています。このチャンスが無ければきっと想い出にも蓋をして向き合う事が出来なかったと思います。

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