ライフステージとペットロス

 動物は人間の何倍ものスピードで歳をとります。出会ったころは仔犬や仔猫だった彼らですが、いつの頃からか白髪が混じるようになり、大好きなおもちゃと遊ぶことも減り、難なくジャンプしていたお気に入りの椅子に上がる事も諦めて寝てばかりいる姿が目立つようにもなります。15年くらいの間に、少年期ー青年期ー壮年期ー老年期へと移り行く変容の早さは、まるで人間の縮図を見ているようでもあります。

 最近は飼育環境やフード、医療の進歩などで犬や猫の平均寿命は14~15歳と格段に延びています。我が家の猫も高齢になって動物病院に頻繁に通うようになると顔なじみの飼い主さんとお話する機会が増えました。その中で、なんと24歳という猫に出会ったことがあります。言うまでもありませんが、例えば26歳で飼い始めたとしたら人間は50歳になるわけですし、36歳の時に飼ったとしたら60歳になるのです。

 このように、人も青年期から壮年期へと移り変わるのですから、その間の人生の色々な節目の大部分をその子と共に過ごしてきたと言えるでしょう。例えば結婚、妊娠や出産、子育てや子供の独立、転職、家族との別れなど。このようなライフイベントが起きるたびに「その子だけは変わらず傍にいた」などという事も考えられます。

 もしもそんな子を失ったとしたら…世間には大往生で天寿を全うしたと言われても、その喪失感たるや!さぞ半端な事ではないだろうなと思います。確かに24年は特別としても自分に置き換えて考えると、今から15年の命を守って看取るのは経済的にも年齢的にも到底自信がありません。そう、最期の伴侶なのです。その方も「この子が最初で最後の猫になると思います。」とおっしゃっていたのが切なくて胸に刺さりました。

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