明るく元気に前向きに!?

 大切な存在を失った悲しみが癒えるには、周囲や自分が想っている以上に時間がかかるものです。また、悲しみや辛さの度合いの感じ方も人それぞれですから、誰かの経験や主観で人の悲しみを計ることはできません。
 ショックや混乱、怒りや罪悪感など様々な感情を行ったり来たりしながら徐々に事実として受け入れるといった気持ちになるわけですから、とても長い時間が必要です。

 中には、周囲に心配をかけてはいけないからと元気に振舞う事で自分を奮い立たせて乗り越えることができるという人もいるかもしれません。しかし、一度「大丈夫!もう元気だよ」と振舞うと、人前では元気な自分でいなければと感じてしまいます。つまり、元気な自分として頑張れない日は、人と会うのが億劫になり、そんな自分はダメな自分だと感じてしまう原因にもなりかねません。

 そうは言っても社会生活は送らなくてはなりません。そんな時に「意外と元気そうだね」「そろそろ元気になった?」などの周囲の声掛けに困惑する事があります。『がんばって元気に振舞ってるだけなのに』あるいは『わかってもらえてない』という気持ちがこみ上げて、孤独感や悲しい気持ちに引き戻されてしまうケースも少なくないのです。

 また、周囲は元気になってほしい一心で一生懸命に励ましてくれるものですが、渦中にいるときは心配してくれている友人へのメールの返信さえも一苦労なものであり、かえってそれがプレッシャーになる事も・・・。
 そんな時は、逆にあまり関係性の深くない人や事情を知らない人と話す方が気楽だったりします。例えばSNSなどのコミュニケーションでそう感じた事もあるのではないでしょうか?お互いに深く踏み込んだり、踏み込まれたりせずとも切り取った出来事にピンポイントで寄り添ったり共感が得られるという点で救われる場面もあるのです。(逆の作用もあるので気をつけなければいけませんが)

 とかく世の中は、明るくて元気に前向きを良しとする傾向がありますが、悲しみは忍耐や努力や気合で乗り越えられるものではありません。ゆっくりと自分のペースで、自分の気持ちに素直に向き合うこと。他人に話すのが無理な時は、声に出して一番の理解者である自分と話すというのもありですよ。誰かのためではなく、自分のために元気を取り戻すのが一番なのです。

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