両価的(アンビバレンス)な感情と後悔

 ちょうど一月前、実家の母が半年の闘病の末に亡くなりました。何度か面会に帰省し、そろそろ覚悟が必要と言われておりましたが、今日か明日が山との連絡で慌てて身支度をしてやっと間に合った最終の新幹線で向かう途中、止めどもなく涙があふれて仕方がありませんでした。本当にもう会えなくなってしまうんだという現実感、親孝行をしてこなかった申し訳なさや後悔と同時にとても口うるさい親が苦手で実家に寄り付かなかった事など、説明のつかない複雑な思いも相まって混乱した苦しい気持ちになったのでした。

 このように同一の対象に対して、愛と憎しみ、信と不信、嫌悪と愛着といった相反する感情を同時に持っている事を両価的(アンビバレンス)と言います。このやっかいな感情のせいで母に対しては、正直なところ後悔と罪悪感しか残りませんでした。何しろ面会毎に弱っていく母を目の前に「なんという親不孝をしてきたのだろう」という取り返しのつかない思いや、この期に及んで「仕方がなかったのだ」という自分を正当化したい気持ちに気付いたからです。そうでもしないと自分が保てないという気持ちもあったかもしれません。人間同士だからこその複雑な感情ですね。 

 一方、動物たちとの関係はお互いに無垢な愛情しかない分とってもシンプルです。いつも濁りのない真っ直ぐな愛を感じていましたし、出会えたことにも感謝しかありません。そのため、『私はその愛に十分に応えてやれただろうか!?』『もっとできる事があったのではないだろうか!?』『もしも自分が飼い主でなけば・・・』などといった責める気持ちが自分に向いたとしても自然なことなのです。逆にそこまで想ってもらえて幸せな子たちだなぁと思いますよ。

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