壊れたから捨ててしまったの・・・

 引っ越しで飼えなくなった、老々介護で面倒を見れない、家族がアレルギーになったから飼えない等々・・・中には最期を看取るのが辛いからと言った呆れた理由で保健所に持ち込まれるペットたちがいると聞いて胸が詰まりました。しかも、引き取り手が無ければ、もがき苦しみながら殺処分されるという結末を承知で引き渡していくのだそうです。高齢や病気の子は絶望的です。

 このニュースを読んで、ふと20年程前の記憶が蘇りました。当時、引っ越した先の隣人は一人暮らしで食品関係のパートをしている50代半ばの女性でした。お宅にはゴンちゃん(10歳)という名前のとても人懐こいおっとりした中型犬が居ました。
仔犬時代に捨てられていたのを保護したのが出会いだそうです。他にも2匹の保護猫がいて、お隣さんが動物好きな方で良かったなと思ったものです。

 ところが1年ほど経ったある日のことです。ゴンちゃんの耳の付け根にコブのような塊ができ、次第に大きくなっていくのです。気になった私は何度も受診を勧めました。しかし、数ヵ月が経ちついには出血するまで腫れてしまっても通院している様子がありません。そして・・・ついに、ある日を境にゴンちゃんを見かけなくなってしまいました。
 入院でもしたのかと尋ねると、驚いたことに自らゴンちゃんを車の助手席に乗せて保健所に引き渡してきたと言うではありませんか。
「だって家に帰ってくると毎日毎日部屋が汚れていて、私は食品を扱う仕事をしているから衛生上困るのよ。もう頭に来ちゃった。」「この年齢で仕事をクビになったら暮らしていけないもの」と、絶句している私に興奮した様子で身勝手な言い訳を並べ立てました。

 『壊れて汚れちゃうから棄ててきたの』 私にはそう聞こえました。

 怒りで震えました。本当に仕方がなかったの?いくら何でもゴンちゃんが腫瘍で出血したことと、パートの仕事を失うかもしれない事は全くの別問題です。そもそも一番の罪はゴンちゃんではなく、出血するまで放置して治療すら受けさせなかった飼い主の怠慢という立派な虐待の結果です。相当な痛みだってあったはず。更に、部屋が汚れるならお留守番の間はケージを居場所にすることもできたのでは?

 言うまでもありませんが、心や感情があるのは人間だけではありません。10年も一緒に暮らした飼い主に突然見知らぬところに置いて行かれ、不安な気持ちの中、固くて冷たい部屋でもがき苦しみながら殺されて処分されてしまったゴンちゃんの気持ちを思うと悔しくてなりません。そんな恐ろしい決断をする前に相談してほしかったと今でも悔やまれます。

 このように人間の身勝手で命を奪われる子もいれば、私のこのブログを読んでくださっている方々のように、ペットロスに苦しみながら彼らを思い続けている愛情深い飼い主さんと出会えて旅立つ子もいるわけです。動物を飼うとは覚悟をもって命を引き受けることです。時間や労力はもちろんの事、お金だってかかります。

 見ていてかわいい、寂しいから癒してもらいたいなというだけでは、この女性みたいに動物が病気や老いる事によって「もう私を癒すことはできないし役に立たない、かえって自分に迷惑をかける存在でしかない」といった短絡的な結論になりかねません。血の通った人間なら沢山癒してもらった分、介護や看護で手がかかるほどに愛おしい存在と感じられるはずです。あの女性は今、何の責めもなくペットロスとは無縁に普通にご飯を食べて平和な気持ちで眠れているのだろうか?

『動物を捨てることは犯罪なのに、保健所に棄てる事はどうして罪じゃないの?』 と不思議に思う今日この頃です。

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