家庭内野良猫カツオの話①ーカツオとの出会い

 我が家には現在2匹の猫がいます。2匹とも当時働いていた会社近くの公園に住みついていた野良猫です。最初は白茶のオスが1匹でしたが、いつしか生後半年ほどの茶トラのオスも一緒に見かけるようになってしまいました。ある日、公園の駐車場に置いていかれた段ボールを開けたら茶トラが飛び出し、しかも目にケガを負っていたというワケアリで、どう考えても人間で良い目にあった事がなさそうな生い立ちです。

 ご飯は会社帰りの猫好きな女性たちが思い思いにドライフードをあげていたようですが、土日や大型連休中、更には大雨が降ればどこかに隠れていてご飯にありつくことができません。未去勢であることも気がかりでしたが、当時、我が家にはすでに2匹の猫がいましたので保護することを躊躇していました。ところが数か月経った11月のある日、2匹で公園のトイレの便器の水を飲んでいるところを見かけてしまい、これ以上見過ごせないと強く保護を決意しました。

 当初は去勢が済んでカツオが人馴れしたら里親募集をするつもりでした。ところが、カツオは予想を超えた人間恐怖症のようで一向に慣れる気配がありません。唯一心を開いているタマと引き離すわけにもいかず、悩んだ末にそのまま我が家に迎え入れることにしました。名前をどうしようかと考えていた時、ちょうどテレビは『サザエさん』を放映しており、サザエさん一家のように平和で楽しく幸せになってほしいという願いを込めて、人懐こい白茶は「タマ」やんちゃそうな茶トラには「カツオ」と命名しました。我が家ではまとめて「タマカツ」と呼んでいます(笑)

 いつか絶対慣れるよ!!と言われ続けてついに11年が経ち、カツオは未だに指一本触れさせない完璧な家庭内野良のままです。パーソナルエリアに近づくと全力でキャットタワーの上に逃げるか、激しく威嚇してパンチで応戦します。それほどまでに人間で怖い思いをしたということか・・・と、ショックでもあり、人間代表として申し訳ない気持ちでもあります。

 一方、2匹は相変わらずの仲良しです。というより、カツオはこの世で信じられるのはタマ兄ちゃんだけだ!と言った様子です。いちいちタマの真似をしては、いつだってぴったりとタマに寄り添うカツオを見ていると、つくづくあの時一緒に保護できて本当に良かったなぁと思っています。保護当時のカツオは板かまぼこを逆さにしたような険しい目つきでしたが、今では可愛い穏やかな飼い猫の表情になりました。(触らせてはくれませんが)

 カツオが健康で安全にリラックスして過ごせて、ご飯を楽しみにしてくれて時々紐でじゃれてくれる、もうそれだけで充分すぎるほど愛おしい存在です。しかし、頭の片隅に「今はいいけれど将来病気になった時にどうしよう」という不安がずっと付きまとっていました。そう、通院のための捕獲がままならないのです。
そしてその不安がついに現実に・・・。

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