死の恐怖に取り憑かれるー 飼い主の心のケア

 一般的にペットロスの悲嘆とは、失った後の取りもどせない事の苦しみや後悔や悲しみですが、予期悲嘆の苦悩は命に関わる病気など、もはや避けられない喪失の予感に苛まれる事です。
 この子はいま精いっぱい生きて頑張ってくれている。しかし、少しずつ痩せて小さくなっていく姿に残された時間が着実に減っていることを痛感し、いつその日が来てしまうのかという恐怖と緊張の毎日になってしまいます。

このまま治療を続けていいのかな。
今だからこそ出来る事があるんじゃないだろうか?
張りつめている気持ちをどうにか立て直したい。
この子の前でいつもの自分で居るにはどうしたらいいの?
この子がいなくなってしまったらどうしよう・・・

 私自身、愛猫のお世話をしている頃に死の恐怖に取り憑かれた自分の心を立て直したい一心で、まずは悲嘆(グリーフ)の正体を知るためにグリーフケアやペットロスカウンセラーの勉強に取り組みました。ペットロス体験者によるお話し会にも参加しました。しかし、当然ながら失った人へのケアはあっても、私が直面している予期悲嘆の苦悩に対して参考となるアドバイスには出会えず、もどかしく思ったものです。

 もちろん、ペットを亡くした後の飼い主の心のケアはとても大切な事です。しかし、同時に看護や介護の真っ只中の飼い主のケアは更に重要だと痛感しました。なぜなら、介護やお世話に費やす時間や苦しそうな姿を見ているのが辛いと感じてしまう事は、いざ旅立った時に正直ホッとしてしまう自分もいて、そう感じてしまうこと自体が罪悪感となり、喪失後の悲嘆の長期化につながる原因になるからです。

 実際のところ介護やお世話でストレスを抱え込む飼い主は多いのです。例えば、人間と同様に動物たちも深夜や早朝に変調をきたす場合が多いため、気になって睡眠も浅くなりがちです。当時は私自身も慢性的な睡眠不足に悩んでいました。
 更に、頻繁な通院や入院で高額な出費がかさむといった経済面でのストレスを抱える場合も少なくありません。ペットになぜそこまでするのか?と、言われるのが嫌で一人で抱え込んでしまう方もいます。或いは、体調の変化など目が離せないために外出もままならない状況になるなど、頑張っている飼い主ほど孤独に陥りやすい時期なのです。

 ペットの治療やケアは病院や飼い主が行います。本来はその飼い主自身の心もしっかりケアをする事で、また最愛の我が子の命と正面から向き合う事ができるのです。何よりも彼らの前ではいつもの笑顔で、お世話も愛おしい時間と感じられる事こそがペットにとっても飼い主にとっても幸せなことですよね。
 変わらぬ沢山の愛情で包んで最期を送ってあげる。このようにターミナル期としっかりと向き合うことができれば、彼らと出会えたことへの感謝や沢山の想い出とともに、これからもずっと傍にいると感じられるのだと思うのです。そんな重要な時期だからこそ飼い主の心のケアが必要だと考えます。

Paw Loversはこのような予期悲嘆の飼い主さんに向けたケアにも力を入れていきます。ご質問などありましたらお気軽にお問合せフォームからご連絡くださいね。

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